10日ほどで一気に4冊読んでみた
「四畳半神話大系」なる、どうやらヤングアダルト向けの小説が深夜アニメになって、それがそこそこ人気らしい、というのは知っていたが。
最近、娘がどさっと、その「四畳半神話大系」も含めた森見登美彦作品を学校の図書館で借りて来た。
「四畳半神話大系は、鴨川ホルモーみたいというかかなり違うけど、やっぱり京都大生がいろいろとヘンな事に巻き込まれる話ですなぁ」と、言われて差し出されたので、とりあえず自分も読んでみた。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2004/12
- メディア: 単行本
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- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/29
- メディア: 単行本
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- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/28
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- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 集英社
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ああ、ホルモーとは確かにかなり違うねぇ、四畳半。
ホルモーが「京大生がアホをやる」話なら、こちらは「京大生がアホである」話、ってのは、ちと端的過ぎますね、ええ。
(ホルモーを読む前から、実際京大の寮の部屋に田んぼを作ったご仁がいると聞いて、京大生の荒唐無稽なアホぶりのリアルは底無しだなと思っていたので、全裸レナウン娘踊りくらいでは、もうなんともなぁ。いや、あれも笑ったけど)
「四畳半〜」最初は、この文体の仰々しさというかわざわざな古めかしさになかなか慣れず、脳内映像化がスムーズにいかないと読み進めるのがつらい自分、ちょっと難儀した。
しかし、「無駄な自意識にあがく男子大学生」の像が脳内に現れてからは、かなりするすると読めてしまい、そのままの勢いで「夜は短し〜」へ。
そりゃ想像上の女子でしかないけど、「夜は短し〜」の黒髪の乙女の恬淡たる様、まぁ可愛いよね。橋本治が何かで「恬淡は無敵だ」って書いていて、「そりゃ、自意識のありようがこう恬淡としているものなら、無敵間違いなかろうよ」と、すでに作った恬淡しかまとえなくなっていた自分、苦笑いしたもので。
「きつねのはなし」は、先に読んだ二作に対して、暗い。
「夜は短し〜」で路地の奥にあるのは何が出て来るか分からないが楽しい、びっくり箱世界であるけども。こちらは、路地に道の行き止まりに疏水に、何か得体が知れない黒いものがいる。濡れた毛皮の匂い、濡れた鱗の匂い、そういう生臭い匂いがずった漂っていて、うっすら息が詰まる。
しかし、人はそういうものをつい覗き込んでしまうものだからな。
「宵山万華鏡」にそういう匂いはないけれど、やはり路地はおおむね暗くて恐ろしい。路地をそのようなものとして見る子と、路地の奥にびっくり箱を見つけようとする子と。
恬淡としていられるものだけがこの世ならざるものの正体を見極めるというのは、まぁちょっと、お約束ではありますが。
こちらは、陰影のめりはりが楽しい作品であった。森見作品中のとっつきの良さは、これが一番なんじゃなかろうか。
まだ「恋文の技術」「新釈走れメロス」「美女と竹林」を差し出されたままなので、当面森見作品を読むと。