んでフィルムはどうだったか

ウィンウッドとクラプトンの2人のおじさんinマディソンスクエアガーデン、ああマティソンスクエアガーデンって聞くといにしえの新日プロレスが真っ先に思い浮かぶあたりが駄目な自分と思いつつ、よろしかったです、はい。


この2人によるMSG公演はかなり長い事やってたようで、YouTubeにかなりの動画が上がっている。当然その大半を見てるのだが、正直ピンと来ないものが多かった。そりゃまぁ画質も音質もよろしかないし、とは思いつつ。「んー、おじさん達が過去の栄光のナンバーばっかりやっとるなぁ」とまで思っちゃったときもあったり。
そんなんだから、あまり期待せずに観に行った。
そしたらどうなったかって、もう上映中から、つべ動画なんかで観たような気になってた自分を大いに恥じました。フィルムだって生とは違うものだけど、やっぱりきっちり金を取りに来るだけのコンティションで撮られたものは全然違いました。すいませんでした。



この2人の組み合わせなので、やはりお約束的に"Had To Cry Today"から始まった。ブラインド・フェイスの1枚きりのアルバム最初の曲。そりゃ盛り上がります特定年代限定としても。
ウィンウッドもギター。ファンとしてはハモンドやピアノの前にいる彼が一番好きなだが、ギターもしみじみ上手いんだよこの人。
クラプトンのギターは、嫌いとまでは言わないんだけど、何かの後ろで弾いていてもすぐに彼のギターだと分かるところはすげえと思うんだけど、なんかどうも微妙な違和感と言うか、ちょっときつい耳残りがして。
なのに、ブラインド・フェイスのクラプトンはそこまで嫌いじゃないんだよなぁ…。
ブラインド・フェイスの曲では"Presence Of The Lord"の最初の一コーラスをクラプトンが歌っていて、今回は「へたくそー!」と野次る気にはなれなかったりもして。…すいません、家で聴いてて割としばしば野次入れてました。


後半寄り、2人がそれぞれ自分のルーツ的な曲をそれぞれソロでやった。
クラプトンはこれも彼のお約束的"Rumbling on my mind"で、ウィンウッドは"Georgia on my Mind"って、なんだい「我が心の」縛りかい。
なにげに、曲のせいじゃなく近年のウィンウッドはパフォーマンスぶりが彼のアイドルなレイ・チャールズに似て来てないか。たしか、昔はそんなには揺れなかったよね。いや、揺れていてくださっていいんですけど。
クラプトン、そうだブルースギター弾いてるときの彼はオレ結構好きかも知れない。しかしブラインド・フェイスでの彼はそこまでブルースなギターを弾いてないよなぁ。ざっとは聴いているようでも、意外にまだまだ食わず嫌いか自分。


どちらも、とことん最近の曲はやらず。これなら、彼らの曲を聴いていたのはずっと昔で最近のなんか追いかけてないよ、って人が観に行っても、まったく困らないステージだ。
でも、このお二人はずっとそうなんだけど、昔の栄光だけで食べてますって感じにはならないんだよな。演奏して歌ってるのはまぎれもなく昔の曲であっても、それを今にちゃんと繋げてますというか、ずっと引き寄せてやっちゃうだけのパワーはまだまだおありのよう。
つべの映像で「んー、さすがに声出なくなって来たかなウィンウッドも」と思ったりしたのは前述の通りだけど、とんでもなかった。相変わらず彼の声にはきっちりソウルがあった。


まだ自分が十代だった頃、代々木オリンピックプールでのウィンウッドのライブ観に行った折「最近そして最新のソロ曲より、古いトラフィック時代の曲の方がどうも力が入ってるのはなんでですか…」と思ったものだが(そこから2年経過した横浜アリーナでも同じ現象)、ヴァージン在籍時代だってそこまでひどくないよと言いたいけど、やっぱり彼のキャリアの中ではほんのり暗黒史なのだろうか。やりたい音をやれなかったんだろうか。


おじさんたちが今まだやりたい音を「あの人は今」状態の見せ物じゃなくバリバリ現役でやってる姿、間もなく四十路は励まされました。嬉しくなりました。
ありがとうウィンウッド、そしてクラプトン。
今度はベスト盤だけじゃなく、ちゃんとオリジナルアルバムで聴いてみるよクラプトン!