どうしても操作しきれない自然がそこにある

さすがに三十路折り返しあたりから身体が変わって来て、少々難儀だなと思う事もある。以前書いたように、突如として子宮内膜増殖症なんつうものが出現し、掻爬手術と長期休業の危機なんつう事態もあったし、最近では「仕事」をしてもしなくても、ごく微量ではあるが不正出血あるいは性器粘膜からの微量出血というのはもう日常茶飯事。


セックス産業、いつまででもできる仕事ではないと言われる。
ある程度の年齢までしかこの仕事ができない、というのは、こういう変化にびっくりして、仕事やそのために飲んでるピルの副作用の影響にも恐怖して辞めちゃう人が結構いるせいかも知れない。それはそれで、なんというか、医学的正確さはともかくひとつの健全性かもなぁ、などと考えたりする。


とりあえずこんなことを書いている自分、ピル服用中止から中4日間が経過して、今朝、まさに期待通りのタイミングで出血があった。これまたアメリカ横断ウルトラクイズの勝ち抜け音楽が頭の中で鳴ったりして。
ホルモンレセプターの感度が落ちているのかなんなのか、かつてはピルの服用を中止したら中2日で来た消退出血、いわばニセ生理までの期日が長引きがちになり読めなくなって来ているのが最近の自分である。最短中3日、最長中5日。


たかが1日2日その程度の誤差ではあるのだが、店というのはこういうのを嫌う。
以前の店長氏には、ちょっと出勤女子が少ない日に予定よりも早くピル生理が来てしまったため早退を願い出たところ「あんた何年この仕事してるの! ピル飲んでるんだから、自分の生理がいつ来るかくらい分かってるでしょう!」と大変不機嫌に怒鳴り散らしてくれたご仁がいた。「まー、自分ったら毎度の事ながら間が悪いこと」と思ったのと同時に、「こういう知識だ認識だでこういう店の店長やっちゃってんだから、ホントに怖いよなぁ」と考えたりしたものである。


女子もまたパニックに陥りがちである。
避妊ピルはある程度不正出血と友連れであることや、若い女性でも服用中止から消退出血までの日数は変動しがちであること、そこいらへんの説明はピルを処方してくれる医療機関のほとんどが十分にやってくれてない。で、困った事に、女子もその多くが、自分が服用している避妊ピルがどういうものなのか、どういうことが起こりがちなのか、あまり自ら認識を広げようとはしていない。
(だからって、かつての某ピル掲示板みたいに「自分が飲んでるのに、そんな事も知らないんですか!」って怒ったところで不毛であろうよ。とりあえず優しく教えるとこは教えて、「自分がパニック起こさないように、もうちょっと知っておきませんか」って誘導するのが、筋道ってもんじゃないでしょうかね。何よりもの問題は、相談持ちかけて来た当事者が困ってるって事なんすから)


で、避妊失敗したのではないかという恐怖もさることながら、うちの業界の現場としては「生理休暇がずれ込む、長引く」という事が、すさまじいことだが、避妊失敗の懸念よりもより深刻なパニックに女子を陥れる。
如何にここが様々に刹那的なところであるか、これで分かろうってもんだろう。
「1日2日休みがずれても増えても、んなこたたいしたこっちゃない」はずなのだが、ここではどうもそうではない。


パニックになった女子の相談を受けても、前述店長氏のようなフロント側の発言そして態度に触れても思うが、なんというか、「それでも我々は身体という自然をとことんコントロールする事は不可能である」というごくごくあたりまえのことが、ここではごくごくあたりまえに認識されていない。
この業界のそういうところは、オレはどうも納得できない。納得できないから抵抗活動しているのであるが。
そこいらへんの認識されていなさはピルの副作用に対する過剰な恐怖も呼んでいて、おかげで「ピル抜き休暇」だけは取りやすいって、唯一女子に有利な状況にも繋がってたりするんだけど。これは、長期休暇を取れるだけの収入と蓄えがある女子限定の有利さだしなぁ…。


ともあれ、薬だってホリスティックな養生法だってなんだって、身体という自然をすっかり自分の望むように、あるいは他者都合に合わせて管理できる方法なんてもんはない。
そこんとこの傲慢さは、もうちょっとうちの業界で顧みられないもんなんだろうか。