このへんも「自営業? どこが?」であるよ

昨日の仕事場は女子待機室で、一部の同僚さん達ではあるのだが、やたら熱心に「客室のセットのやり方が統一されていない件」を問題であると語っていた方々がいた。
ベッドもといマッサージ台の上に敷くタオルの敷き方、(現在の在籍店舗には基本的に「持ち部屋」制度はないんで)次の接客要するに次に部屋を使う女子に残すタオル枚数、足拭きマットの上に敷くタオルの枚数及びその敷き方などなど、要はその方々、「自分のやり方をスタンダードとして欲しい」ご様子なのだが、その語りのテンションの高さというか、「統一されていない」事への不満の高さについて、聞いていて大いに困惑した。


この困惑はなんなのだろうか、と、とりあえず自分の内側に引き取るあたりが、オレの駄目なところであるんですが(笑)


とりあえず、自分が仕事場の客室セットについて思っているのは「ここは自分だけが使う部屋ではないので、最小公約数的汎用性と公共モラルってやつが適用されるべきではあるが、それは他人様に期待するものではない。オレの利便性はオレがコールを受けてから客室に上がり、自分がこれから使うと決まった部屋に対してどうにかこうにかすりゃあいい」というもの。
「自分だけが使う部屋ではない」というところと、「そんなもん、自分が使う段になってカスタマイズすりゃいいや。皆大なり小なり自分独特の部屋の使い方ってのがあるんだろうし、人様が使ったあとの部屋交代で使ったら、ああ、自分のやり方と違うんだなというのがあるのは当たり前で、しょうがねぇもんな」というハラの自分には、とにかく皆が同じにやりましょうよと言われても、ピンと来ない。


あー、そうか。この困惑の理由、いつもさんざん感じているやつだとはやがて思い当たった。
こういうケースって、問題を取り上げる方は「みんなが使いやすいように」と必ず言うんだけど、「みんな」はそのまま声を上げたご本人でしかなかったりする、ってやつね。はいはいはい。
そういえば、一番熱心に問題であると語っていた同僚さんが使ったあとの部屋を受けて使うと、いつも「おお、この人のセットは私物が残ってる訳でもないのに、毎度『ここはあたしのテリトリーだから』って意識が溢れておるなぁ。どうも威圧されちゃうんだよなぁ」と感じているのだが、なるほど、この同僚さんは全部屋にとことんそれを徹底させたいのか。
往々にして、テリトリー意識の強い人は仕事でそれなりの実績を上げるひとだし、この件に付いてもまったくそうなのである。


実際問題として、客室セットのやり方の統一は、簡単そうでかなり困難であろう。
それは、この仕事がインビジブル売春業であることに起因している。店は万が一の事態(摘発ってやつですね)に備えて、客室セットのオペレーションマニュアル作成なんかするわけがなく。
日々の実務的問題としても。「みんなの声です」と言われたそれを採用したところで、徹底させようとした途端「みんなの声」をまとめたと言う女子に対してではなく、「それは自分にはやりにくくて仕方がない。あくまで○○さんのやり方だ」とクレームをつけて来る個々の女子への対応を店が引き受ける羽目になる。んな面倒くさい事、やっとられんだろうな。


やっとられんだろうから、客室全部があの威圧的テリトリー意識に満ちたセットで統一される事はないのだろうが。いや、しかしだからこそ、オレはこれから控え室で何度繰り返し、あの怒りに満ちた不満の声を自分に直接語られたものではなくても聞く羽目になるのかを考えると、気が遠くなる。
ああ、つくづくとここも、普遍的な皆さんの仕事の場です。