ボーダーさんはバグか生育環境か

このへん、かつて調べれば調べるほど分からなくなったのだが、境界性人格障害、いわゆるボーダーライン、暫定結論としては「バグ説」をとなえているオレである。
いやまぁ、身内にそういう人がいたら、バグってことにしたいじゃないですか。


実家の母が今、精神科のリハの手伝いなんぞをしているのだが、彼女は当初、精神科に長く勤めるナースや医師が口を揃えて「人格障害だけは箸にも棒にもかからない」というのを聞いて、たいへんに憤慨したそうである。そんなことを言ってしまうのは医療者として怠慢であり不遜だ、と。
が、自分が直接そういった患者と関わってみて、「…ホントだった」と思っている現在だそうで(苦笑)
先日母と電話をしていて、「箸にも棒にもかからない」という暫定結論、たいへん感銘を受けてしまった。


ともあれ、何人かのそれらしき、あるいはあからさまにそれである人達と関わってしまっているのだが、そして母もオレも「ボーダーさん憑き」になりやすい体質のようなのだが(基本仕様がおめでたいから。自分の基本仕様はおめでたいということに気付いてから、オレの不安障害は随分マシになった)、ボーダーさん達というのは何故ああも似ているのかというのをたまに考える。


ボーダーさん憑き体質の人間にとっては、なんせ彼らから好かれやすい体質なもんだから、彼らは当初、とてもいい人に見えるのだ。
彼らは、好意を持った相手には、かなり気前がいい。しかし、その気前の良さはどうも、売ってる品物をプレゼントされるというところで示されがちである。少なからぬボーダーさんがこれで自身が経済破綻したり、ある程度大きい「お財布」がバックにある場合、自分の背後にいる「お財布」から絞れるだけ絞っていたりするようだ。


なんせ、経済破綻するいきおいで、「お財布」を喰らい尽くすいきおいでプレゼントを買ってしまうくらいだから、ボーダーさん達の消費行動はそりゃもう衝動的である。この衝動性はどうも、行動全般にあるっぽい。この衝動性から、本人も「なんか自分はおかしい」とぼんやりとは考えていて、「もしかして自分って注意欠陥?」と考えたりするようなのだが、ボーダーさんは注意欠陥とははっきり峻別できる。その理由は後述。
ところで、ボーダーさんに「お財布」とされている主に身内である人達も「ボーダー憑き」なのであろう。いや、こっちの方がボーダーさんのダークサイドをまともに見るのだから、深刻さははるかに上か。


ぼーっとしてない人なら、ボーダーさんからのプレゼント攻勢の時点で気持ちが悪くなって逃げ出す。ぼーっとしているボーダー憑き体質でも、さすがにある時点で「やりすぎだと思う」と言い出したりするのだが、ボーダーさんはそういう病気なので、相変わらず衝動的にプレゼントを持って来る。いよいよ破綻するまでは。
もらったプレゼントの代金が支払われていなかった事を知った時の気分というのは、かなり、その、アレなのだが。


ボーダーさんにいい顔ばかり見せられるボーダー憑きも、自分以外の相手にボーダーさんが見せる顔について第三者から話を聞く機会があると、「ん?」と思い始める。
まるで、自分が知っているその人ではないような評判なのである。ゆるゆるのボーダー憑きが「んー…」と考え込み始める頃には、ボーダーさん本人には、居場所の周囲から「いつもカリカリしていて喧嘩早い、いわゆるトラブルメイカー」としての評判が確定していたりする。
ボーダー憑きは、耳が遅くてぼーっとしている人間である事が多い。


ボーダー憑き、ボーダーさんの世間評に最初は「まさか」と思うのだが、そのうちにボーダー憑きがいかにゆるくおめでたい人種だとて、「あれ?」と思い始める。例えば、ボーダーさんから人付き合いの相談を受けて、彼らのあまりに激しい人物評の上り下がりを目の当たりにしたり、あまりに過剰な感情に接しているうちに、ようやく「これは、おかしいんでは」と感じ始める。


さて、ボーダーさんはいずれ、世間との折り合いがどうにもつかなくなって、なんらかの破綻を起こす。
うちの娘がそうである注意欠陥さんも破綻しやすいが、注意欠陥さんならば破綻が近付いたとき、あるいは破綻してしまったとき、パニックが身も蓋もなく身も世もなく、もはや何も取り繕う余裕がない。
彼らとて、最初は都合の悪いところは話そうとしないが、結局破綻の経緯と内容を人に話さざるを得なくなったとき、話を聞く相手が複数いたなら、その全員がほぼ同一の話を聞くであろう。
この計算のできなさゆえに、注意欠陥さんは破綻と近いのだよなぁ…。


しかし、ボーダーさんは違う。話を聞かされた相手は、その利害関係の度合いにより、まったく違う破綻の経緯と内容を聞かされる。
ボーダーさんの表層意識ではどうやらプレゼント攻勢もこれも計算が働いていないのだが、奥底では、プレゼント攻勢からして「自分が優位にあること」を望んでの行動である。よって、いよいよどうしようもなく破綻してしまった時でも、ボーダーさんはそれがどれだけ皆から見え見えであっても、自分が不利になると思った事は決して話さない。
…これによって、ボーダーさんの話は各方面それぞれにまったく違う話になる上に、各方面それぞれにものすごーく不自然な話になってしまうのだが、それを踏み越えられてしまうのがボーダーさんである。
逆に、話を聞かされた各方面が集まって話を突き合わせると、ボーダーさんが話したくなかったあたりが、見事に浮かび上がっちゃったりして。


いやしかし、やっぱりつらつら考えるに、オレもボーダーさんは箸にも棒にもひっかかんないのかなーと思ったりして。
さて、身内含めてこれでボーダーさんとの遭遇も6件目だ。
そろそろボーダー憑き体質を改めなければなのだが、こっちがぼーっとしてるのも耳が遅いのもおめでたいのも、やっぱり治らないからなぁ。
基本「やたらにモノをくれる人、やたらに好意的な人には警戒」って話になっちゃうのかね。