興味がないのか配慮なのか(どっちもか)

飲み屋さんや風俗のおねえちゃんに警戒され嫌われる方法その1として、「特におねえちゃんの個人情報に関して質問攻めにする」というのがある。
が、多くの客がこれをやってしまうのである。年いくつ、出身どこ、住んでるのどこ、彼氏いるんでしょ(この「いるんでしょ」という決めつけは「いるの」よりタチが悪い)、今日オレで何人目の客、1日いくらくらいもらえんの、借金あるんでしょ、など。
話題のとっかかりがそんなに掴めないなら、ずっと天気の話でもしておれ。天気の話以上に無難な話はないから。


オレは基本的に、お客が自ら喋り出すまでほとんどお客の個人情報には触らない。
それはタイトルのごとく、お客それぞれの細かい情報に興味がないからでもあるし、そこはあちらにとって同様なものではなくむしろオレに少しでも好意的になってくれたお客達はオレにあれこれ聞き出されたい、とすら思っている事が少なくないのも知っているけど、オレが訊かれてめんどくせぇなとかなんでいちいち言わなきゃならんのだと思うような事は相手に訊かないからで。
かくして、仕事の上でのオレはものすごく無口な方でもないだろうけど、あんまり喋らないおねえさんになっているのだった。


そして、オレは自ら女子の甲高い笑い声が苦手なので、仕事中はできるだけにこにこしているようにはつとめているが、頑張って声を上げてきゃはきゃはと笑う事もあまりしない。


かつて店の隣の個室からずっとけたけたと笑っている女子の声が聞こえていて、長く通って来てくれているお客が「考え過ぎなんだろうけど、隣みたいにずっと笑ってる女の子に当たって自分の事を笑われてるような気になった事が」と述懐していた。
ああ、それ分かるなぁ。でもあの対話の相手にすら笑ってる根拠がよく分からないのにひたすら笑ってる女子って、あれ以外にどうしたらいいのか分からなくて困ってるからそうしてるところがあるのかなと思うよ、なんてその時のオレは言ったものである。


うん、あちこちの個室から聞こえて来る女子のきゃはきゃはとした笑い声って、多分あちらにすれば「貴方と一緒にいて楽しい」ということを示すサービスのつもりなんだろうし、一種の防御でもあるんだろうな。
もちろん、オレがしじゅうげたげた笑わないのは、仕事の上で自分が作っているキャラクターにすら合わないから、というのもある。
仕事の正味に付いてはともかく、会話中はテンション、結構低いよ(笑)