とりあえず、リンク先をご覧いただきたい

http://npo-gina.org/sub4-p.htm

かつて、知人の大学教員氏の生徒さんの卒論のため、風俗嬢としてインタビューを受けた事があるんだけど、その時にその学生さんから「この仕事をしていて一般の女性に迷惑をかけている事はあると思うか」という質問を受けた。
多分に躊躇を含んだその訊き方に、確かオレは「そこは相互にお互い様」という答え方をしたと思うんだけど。
ちなみにその頃はスキン着で働いてたんだな、自分。


その時思ったのは、風俗の外でのありとあらゆる男女関係のあり方が、風俗の中でのありとあらゆる客とのトラブルに影響しているということ。
たとえば、ベッドの中で相手のやり方に注文をつけるのは男のプライドをくじいてひいては役に立たない状態を招くのでよろしくないとか、信頼関係があれば(避妊についてはほとんどがピル飲んでるはずだから)コンドームはいらないはずだ、とか、まぁその他いろいろあるんだけど。
一般女性の皆様が「愛」の前に良かれでやった事、あるいは我慢した事は、そのままオレ等の上に降り掛かって来るのだ。


で、風俗の中で許容されている事は、また世間の男女関係の中にも持ち込まれる、と。
オレ等が金のために嫌だけど我慢したあれやこれやは、一般女子の皆様が恋愛の相手から要求されたとき、愛のために自分が本当に望んでいるのかよく分からないままやらされたり、我慢したりするあれやこれやになったりする。


で、リンク先。
タイのフリー売春婦からの調査なんだけど、なんとこれが「顧客数が少ないほど性感染症罹患率が高い」という結果。
それは結局、「ひとりの顧客と親密な付き合いをする」ようになった結果、コンドームを使わないで仕事をする、ということらしいんだけど。


ところで、日本は吉原に話を移すと、ごく限定されて自分の在籍店舗の場合だけど、人によっては8割それ以上、平均的なところでも5割前後は「リピーター」による稼ぎで皆さん食べている。
客それぞれ通う頻度は違うし、一軒の店あるいはグループ店舗に複数のお気に入り女子がいてローテーションあるいはお気に入り順位を付けて出勤との絡みで特定の女子の中から今日の相手をチョイスする、なんて遊び方をしているお客も多い。


まぁそんなこんなで、女子の側はリピーターの存在が稼ぎの重要な柱ではあるし、接客の際には「あたかも恋人のように」あるいはこの調査に出ている言葉「親密な友達のように」、客の前で振る舞う必要がある。
で、何故か「親密な友達のように」振る舞うとなると、コンドームは着けにくいものになるのだ。
なんでそういうことになるのかはよくわからないが、とにかくそういうことになってしまうというのだけは、身にしみて理解できてしまう。


スキン着で仕事をしていた頃、嘘か誠かは知らないが、裏を返して来た客が「この店の○○ちゃんはスキン着だけど裏を返したらコンドームはなしでいいと言ってくれた。自分はいつも相手を決めてるし絶対に安全だから」(おい!)としつこくノースキン接客を迫って来て参った憶えがある。
店もまた、客が安全に遊べる事よりとりあえずその場でどれだけ満足したかを重視するから、スキン接客よりもノースキン接客を女子に対して推奨する。それが「お客を大事にする」ということなんだそうだ。
もちろん、吉原でも基本的に全ての女子がスキン接客でやっている店もあるんで、一律全部こういう思想でやってるんじゃないんだけど、それは少数派。


日本では年々コンドームの出荷量は低下し、若い男女間でのコンドーム使用率も下がって行ってるんだそうだが。(でも十代の中絶率は下がったという不思議な現象もあったりする)*1
オレは現在もはや働き方そのスタイルを変えられない状態にあるけど、またいろいろ、考えてしまいはするなぁ…。

*1:あ、そうか。若いもんの性行動が全体的には活発でなければ、一部の活発な層はともかく、コンドームの出荷量は減って中絶率は減るのか