「営業サイト」はやりたくないしできない

年若い同僚さんが営業サイトを作っているのを「頑張ってるなぁ」とは思うが、オレは無理。
かつてまだ風俗嬢が個人サイトを作るというのが珍しかった頃、よく同僚から「(サイトを)作ればいいのに」と言われたが、オレがケチなので無報酬の時間外労働が嫌い、というだけではなく、「…いや、やりたくないからやらないし、ネットでまで仕事の顔は作れないよ」と返答したものである。


この仕事は特に、ライフワークバランス等という概念とはいっさい無縁で、業界にいる間はプライベートをかなぐり捨ててひたすら稼ぐ事に邁進するべし、というのが「正解」なのだが。さもないと、店だけで頑張っても短期間でがっちり稼いであがるなどということはまず達成不可能なのだが。
いや、そうやって頑張っても、この仕事では特に「努力は報われる」という言葉はまったくあてはまらないので、祈り近いような行為なのだが。


無理。オレには無理。そこいらへん小心者だから子供がグレるような家にすんの嫌。帰宅しても生活のない暮しなんて嫌。マックの前にしろ携帯の液晶にしろ。画面の前でまた風俗嬢を1人きりでやるなんて。

みんなだいたいそうだろうけど、店への滞在時間が終わっても風俗嬢やってるのは、お金の問題に出来ないところで疲れる。
まだ、帰宅したあとで自分の職業という一属性として自分の中に取り入れなおすならまだしも。
で、思い出したのが、地元ですっかり地域住民な皆様に顔を知られた医療関係者であるところのオレの母、スーパーに買い物に出ると数人の患者さんに捕まって医療相談を持ちかけられていて、帰宅してから「そんなに四六時中仕事やってらんないわよ!」と毒づいていた。彼女ほど仕事が好きなおばさんも珍しいのだが、この人にしてそんなもんか、とその時は思ったものだ。今は「はい、本当に」と心から思います、はい。


ところで、実際無報酬で客に会うのが嫌いかどうかと言えば、お客として出会って今でも時折来店もしてくれる近隣に住まう某氏などはどちらかと言えば友人としての側面の方が強く、時折お茶したりメシ食ったりするし、上がり際に店外に出してくれたお客とは規定の時間を結構オーバーして、一緒に飲んで埒もない話をしていたりする。


こういう彼らに対しては、オレは全開で風俗嬢というよりも、今これを書いているような「職業は風俗嬢」という個人でいることを自分によしとして、彼らもそれを望んでいるようなので楽。が、口では何と言っていてもそもこの考え方が言葉と行動からまったく窺えない客が大半なので、オレはほとんど毎度「早く帰っても無趣味の多趣味だから忙しいんですよ〜」(ま、これは本当)と、誘われてもそも店外に出る事を拒否してしまうのだった。
こんなんでは、当然営業個人サイトなど作れませんわいな。