うん、フェンスはあっちが作ってるよな

http://npo-gina.org/fdiary/2007/02/post_23.html

ほんとうはフーゾクだって世界の一部のはずなのに。「昼と夜、別の顔」とか言われるけれど、それを分けているのは社会の方。私にとってはつながった生活なのに、2つの世界に所属しているフリを要求されている。

だから、のぞんでいるのは、風俗や売春がこの社会を構成している多くの要素の1つだと、みんなが思う社会です。フーゾクのない社会をめざす、とかでなく、かといって「必要悪」とかいう勝手な役割を押し付けるのではなく。風俗嬢が生きやすい社会は、都合がわるいことを立場が微妙な人たちに押し付けて見ないようにする、なんてことをしない社会。風俗で働いていない人にとっても絶対生きやすい社会だと思う。

売春は、まずなくなりはしないだろうが、ましてこの国ではセックスを売る仕事に入る時最初の敷居は低いから入って来るのは簡単だし。
この頃は自分探しやら承認欲求やらメンヘル系やらなにやら、ケツに火が付いた女子にとっては「他でも喰うになんとかなるならこっちに来るな! お前等のとんちんかんぶりは切羽詰まってるこっちの仕事と稼ぎの邪魔じゃあ!」と言いたくなるような女子も大量流入しているのだが。あれもまたちと考え直せば現代的な居場所のなさってやつで。
つい先日もそんな事書いたけど、風俗業界はかつても今のところも「生き難さのサンプル市場」みたいなもんだ。貧困その他昔からあるタイプのわけありと、最近目立つメンヘル的なわけありが同列ってのも、すごい話なんだが。


ところでいろいろ考えると、「風俗嬢が生きやすい社会」が実現すると、パラドクスが起きる事が推定される。
スティグマ、あれは汚れ仕事というレッテルがこの仕事から剥がされるのはまぁ困難な事だろうけど、それが実現して、あらゆる社会的な待遇が普通のサービス業と同等になったら、これはもう多くの風俗嬢にとっては「非常識な額を稼ぎ出せる仕事」たりえなくなるだろう。待遇も改善されてないのに現状すでにそうなりつつあるけど。


そういやそういう話が昔、雑多な風俗業種に就いている男女のミーティングでも出たっけな。趣味的な理由でやってる人間はいいんだけど、そうでない人間は困るよな、と。
誰かがオブザーバーとして参加していたフェミのおねえちゃんに真っ正面からそれを言って困らせていた。彼女はそれに対して解答できなかったのだ。そりゃ、ちと荷が重かっただろう。
確かに、もしそうなったら、この国で昔からあるタイプの困窮に悩まされている女子はどこに行く事になるんだろう? メンヘラーさん達はまた勝手に次の行き場所を定めるだろうけど。


つまり、ここをどうにかして他に破綻を出さないようにしようと思ったら、話がここだけの問題ではとどまらなくなってしまうのだよな。
まぁそこまで話を広げずとも、とりあえずは世間が現場で何が行われているのかをもうちょっと関心を持って見てくれて、風俗嬢は風俗嬢としてのみ生きているにあらずという当たり前の事が認知されたのなら、いくぶんやりやすくはなるだろうなぁ。
賃貸物件ひとつ借りるのにも異様な苦労と偽装工作が必要って、これだけ真面目に働いて払える額は稼ぎ出してるのに、どうにかしてるもんなぁ。
(あ、でも母子家庭ですと不動産屋に言って借りる苦労とこっちと、どっちが上だろうか。母子世帯っていううちの属性も賃貸借りるのに関門だったよ、そういや…。二重ハンデなのか「金だけはまだなんとかなるだけいい」のか、わかりゃしない)