東京グローブ座「第32進海丸」

このところ仲良くしていただいている同僚さんに誘っていただき、「劇団演技者」のTVフライヤーを眺めていたオレは喜んでお誘いに乗らせていただいた次第。
(彼女は三宅健ファン)
グローブ座はこじんまりしていて、客席と舞台の一体感のあるいい感じの劇場だった。
若い男子は対象として興味は持てないが、「ジャニーズの男の子達」についてはここ数年ぼちぼちと観ている「演技者」で「あ、今までバカにしてたごめん」と反省しきりだったりして。

同行者の同僚によると、舞台の三宅健は共演者に抗わないで委ねる、委ねて引き出してもらうタイプ(ちなみに岡田君は思い切り抗って自滅するタイプ)、なんだそうだ。
で、まさにそういう舞台だった。(滑舌の精進、頑張ろうね三宅君)
舞台経験の豊かな役者さんにしばしば食われてしまう事に抗わない三宅君の芝居には好感が持てた、抗わないけど彼の目一杯で頑張ってる、という。


事前にちょろっとキャスティングだけ調べておいたのだが、天宮良も出ると知ってちょっと期待していた。はい、日焼けメイクに加えて酔っぱらいメイクでご登場。
やっぱり存在感あるなぁ。この人はどうも、テレビに出ているより舞台の上の方がずっと似合う。
同僚さんは彼をご存じなかったのだが、「白ジャージの河内さん役の人良かったですねぇ」なんて言ってくれたので、彼がその人で、「倉本聰に見出されてデビューしたという不幸」を背負っている人であることなど話した。
しかし、倉本聰はどうしてああ「地方の駄目な男」の話が好きなのだろうか。オレが記憶する限り彼のテレビドラマは全部その話だよ。
ああ、山崎裕太君もたいへん頑張っていてよろしかった。空回りするほど頑張ってリベンジを遂げた男(笑)


そして、倉本聰とはまったく関係ないこの舞台も「地方の駄目な男」の物語なのだった。
話はどうやら「元ダイアナ妃が亡くなった頃」で、90年代の終わり近くということになる。
かなりのど田舎にも大手の流通が進出し、世の中に不景気感が満ち、阪神淡路大震災オウム真理教サリン事件を世の中が経験したあと、か。
進海丸は三宅健扮する「田舎の冴えないプータロー」なサトルの父が先代の漁労長を務めていた船で、「黒潮の狩人」と呼ばれていたサトルの父は最近ガンで亡くなったという設定。
サトルが「船に乗りたい」と、乗組員の1人のマナブに言い出したところから物語は始まる。


長い間明確にされなかったサトルの「船に乗りたい本当の理由」が出て来た時、この地方のプータローの兄ちゃんの物語は一気にカタルシスに向かう。
見えた客層はほとんどが三宅君ファン、V6ファンの皆様で占められていたが、ああもったいない。本当にそう思った。
チケット入手が大変だと思うが、「グローブ座のジャニ劇」はいわゆる「ジャニーズのおっかけお嬢さん」だけに独占させておくのはもったいないので、バカにしないでもっと幅広い層の皆様が見るべきだ。


そして、ここ数年で「ジャニーズはエンタテイメントとして天晴である」と思うに至ったオレを誘ってくれた同僚さん、ありがとうございました。
はい、また誘ってもらったら財布が許す限りほいほいと一緒に行かせていただきます。