これはやけっぱち消費なのか、それとも

春にはいろいろ覚悟していたが、いざ夏になってみたら、少なくとも在籍店舗そしてグループには今年もちゃんとボーナス景気が到来した。ニッパチとはよく言われるが、少なくとも吉原の場合、8月のうちはまだボーナス景気が持続する。例年はそんな感じ。
それぞれのお客が語る景気短観は、たいていよろしかない。
そして、さほどの減収はしてない様子のお客達は、給料そのままで仕事量倍増ってな感じである。
皆さん、倒れるなよー。仕事なんかに病気させられたり殺されたりすんなよー。オレにそんなこた言えないんだけどさー。


以前から、現在職についてないお客が遊びに来るのは珍しくなかったが、単純に失業者が増えたせいなのかなんなのか、去年の秋から、失業中あるいは失業同然にも関わらず定期的に遊びに来るお客がよく見受けられる感がある。
で、「これって、どう考えたらいいんだろうか」と、時々考えてしまう。
ここまで先が見えないと、皆さんいよいよ行動が刹那的になってしまってるんじゃなかろうか。頻度はまばらでも風俗で遊ぶような層は特に。


この先行きの分からなさは、もし最悪シナリオに沿ってもろもろが進んで行った場合、ちょっとやそっとの蓄え作ったところでどうにも太刀打ち不可能じゃねぇかよ的無力感を感じさせられるものである。実際自分がそうだ。
しかし、自分は毎朝「賽の河原で石を積む〜」とか呟きつつ、仕事行って近未来のあれこれのためのはずの金を積んでいたりする。ええ、鬼が来るのが当たり前です。地蔵菩薩様はいらっしゃらないでしょうよどこからも。それでも石を積むと。


これ、自分に所帯がなかったら、どうだったんだろうか。
風俗嬢やってると、つくづくと「男性は、家庭があってもなかなか自分の金を家庭生活の充実に注ぎ込まないもんなんだなぁ。年間所得はたいていの勤め人より上のはずなのに、オレの方がはるかに小遣い少ないわ」と感じもする。しかし、そうやって外で金をばらまいてくださる男性方により我が家の経済は成り立っているので、ひとまずそれはそれとしよう。うん。
女性に対する「お前の稼ぎはまず子供の口に、その次はお前の周囲の人々のために突っ込め」って強制を、どうなんだろうかとか思ってる自分がいるわけだし。


さて。いよいよ世の中の経済が悪くなり切った時、現状すでに少なからぬお客達がやけっぱち消費に走っているとしたら、うちの業界はどうなるんであろうか。
かつての大恐慌の時代に農村から吉原に売られて来たお嬢さん方は、この地でなんとかなったりしたんだろうか、なんてことにまで思いを馳せてしまう。
いや、そこまでの話じゃないにしてもさ、すでに多分業界女子の半分くらいが身を売っても立つか立たないかギリギリ、あるいはもうてんで立たない身の上である風俗界、ここから世の経済につれてどうなっていくのか。