風呂屋だけどグループ企業

今、吉原でだいたいの繁盛店は、複数の姉妹店を持つグループ店というやつなのだが。オレが現在在籍して働いている店も、まぁそういうところで。拠らば大樹ってやつですね。


現在の店で仕事するようになって、結構長い。長い、のだが、オレはここ2年くらいが、収入的にも数字的にも風俗嬢史上最も安定している。ま、相当なスロースターターぶりである。
仕事はそこそこする方なのだが、営業がとことん苦手、駆け引きもしない、お客にろくにお世辞も言わない、そういうお気楽な営業姿勢の上に、「性感染症百怪談」的リアルに怖い話をうふうふとお客にしてしまう、そんなソープ嬢な自分である。当然、劇的にゃ売れない。マニア受け。


相も変わらずそんなソープ嬢生活をやっていたこの秋、今の店ではもう何度目かになる店長交代があった。
なんやら、オーナーというか経営側としちゃあフラッグシップ店としたいグループ内での最高価格店舗が、一番やり手のボーイ氏を店長に据えたにも関わらず、どうもパッとしないらしい。で、姉妹店間で店長をシャッフルして様子を見てみようって話になった、と。
そういう流れでの、姉妹店間での店長交代というか交換である。


先日、新店長氏による月例ミーティングが行われたのだが。
この昼行灯ソープ嬢をして、先行き大いに不安になるミーティングであった。
新店長氏、お人柄は誠実で悪くないんだろうが、さきに店長をしていた店でのミーティングの様子をご本人が語るのを聞くに、女子の勤怠管理やら自己ノルマ設定にばっかり目がいってて、ランキング真ん中から下の女子のモチベーション向上方法、あんまり考えられない人なんじゃないかという懸念が。


かなりのやり手であった今いる店の先々代店長氏は、彼もまたオーナー側の気まぐれというか無茶によって作られたグループ内高価格店舗は上手くブレイクさせられなかったのだが、少なくともオレがいる店はお上手に再生させていった。
先々代店長氏にはいろいろ思うところもあるが、真ん中から下位の女子のモチベーション向上がお上手であったゆえに、この店舗の成績を向上させられたんだよな、という感がある。
そのやり手店長氏は、あえて勤怠管理を緩やかにしていた。遅刻や欠勤罰金も、経営サイドの意思を無視して、極力取らない方向でやっていたが、結果的にそれはプラスになっていた。


罰金ペナルティで女子を縛るのは、オレのように金に細かい割にてれんとしがちな輩の管理には有効なんだろうけど、ペナルティ課すからには、飴も差し出してくんないとなぁ。
飴はろくろくもらえないのにペナルティばっかじゃ、どうしたって店の雰囲気はぎすぎすするし、そういうとこからも女子の労働意欲は萎えますわなぁ。


しばらくは様子見だが、新店長氏のやり方が結構あんまりでも、食えてるうちはめんどくさがりのオレは移籍なんかまったく考えない。しかし、店に閑古鳥が鳴いて自分がどう頑張ったところでとなったら、話は別。これだけ繁盛してるグループならそれはない気もするけど、さて、どうなるやらなぁ。