この仕事なら、モラル抵触はないのだよなぁ

働く事、働いて得た金が全部自分の思いのままには使えない事、他の人間に会う事、外に出るにあたっていちいち身支度が必要であることは、自分の状態が悪い時には大変に辛いのだが、それはどんな仕事やっていても一緒。
そんなに嫌なら子供放り出して身軽になりゃいいじゃん、それが嫌だって思うならもろもろ呑み込みな、と、かつては再三自分に言い聞かせたものである。
今は、自分が稼いだ金の割り振り行動に出ているように、ほとんどの時間は疑問を感じている余裕すらない(笑)


しかし、こういうオレは、やっぱり業界女子のメインストリームからは著しくズレておるのよね、と、みくしで足跡を残してくれたいた同僚さんの日記など読んで考えたり。
その人は、どうやらこの仕事をしている事がとても辛いらしい。いや、控え室内での同僚さん達の様子を見たり、ネットでこの仕事してる女子が書いてるものを読んでみたりするに、その同僚さんが書いていたような辛さは、むしろ業界内の普遍なのかも知れない。その人のそれは、いささか極端なものではあったけど。
それは、オレはこれまでも、そしてこれからも決して感じないものだ。


ところで、昨日今日となにやら風邪なのかひどいアレルギー症状なのか判然としないひどい具合の悪さで、半分は朦朧としている。
明日もこんなに朦朧としてるなら、仕事すんのきついなぁ、だが、自分のスタンスは「いつも65%〜75%の出力モードで淡々と働く」という凡庸なサラリーマンのようなものなので、まー、なんとかなるじゃろう。
仕事に対してこれくらいのいい加減なスタンスになってくると、多少はもろもろが楽だ。オレは仕事だけで自分が完全燃焼するのはパス、なのだから。


ともあれ、オレのモラルは売春稼業を否定していない。
そして、よく知らない初対面の相手とセックスして金をもらうというのは立派な労働であると思っているし、実際、かつて若かった頃にやらかしたナンパの上でのセックスに比べたら、そりゃもう格段にオレは「仕事」している。
もっとも、もろもろ考え合わせると、売春ってのはあまりに的外れな事をしないで真面目にやればほどほど以上に高収入なのは確かだけど、高収入なりのめんどくささはきっちりある仕事で。


されど今、売春以外の仕事でうちの生活にかかる40万強の金をオレに稼がせてくれる仕事ってどんだけあるかなと考えると、「…詐欺スレスレかそのものの『騙し』が仕事の根本に入る稼業しか、ないよな」ということになるから、オレのモラルは売春を「なんてきっぱりした仕事なんだ」と受け止めている。


オレの抱えるおのが精神のつらさというのは、基本、この仕事を始めるずっと前からあるものだ。
見知らぬ男に金もらってセックスサービスを提供したくらいでは、これは良くもならないし悪くもならない。だって、オレにとってそんなんはどーでもいいことだから。
ほんとにつくづくと、どーでもいいのだ。オレはこれやってて菩薩になれる訳でもないし、特別に汚れる訳でもないし、ただ、淡々と仕事してるってだけ。


しかし、この「どーでもいい」は、どうやら業界内においては不遜なのだ。
随分前に「あ、この業界内で働いてる女子の性的規範って、もしかすると、ガチマッチョ思想男のそれそのまんまくらいで保守だ。大半が」と思ったりしたのだが、客の大半だってそういうもんなのだが。


友人I嬢に先日「なおさんは絶対にプライドは売らないというか、売れないだろうなー」と言われ、「いや、そも売りたくても、どうやったらそれが売れるのかを知らないんだよ」と返答した。このへんからしナチュラルボーン不遜。
ゆえに、オレは華々しくは売れない。そして、マッチョを生きられないお客ばかりがひっかかる(笑)