やたらに振り分け

当面使う目的のない金と言えば養老保険くらいで、どれも必ず使うアテがくっついてるから貯金になるとは言い難い自分の稼ぎを4つの通帳に振り分けつつ、ああ、オレそれだけは本当に身にしみちゃってるわ、と思った。
「明日の事は分からない。」


この仕事をしていることでますますそうではあるんだけど、これが普通の会社に勤め人としていたところで、あんまり変わるもんでもあるまい。
幾ら蓄えたとて、この不安は消えないんだろうなぁ。消えないな。


だけど、どこにいたってそうなんだから、この不安はしょうがないんだよな、うん。この2年くらいはオレにしては割と巧くやりすごせて来たけれど、来年の今頃までそうやって行けるかどうかなんて、分からない。
春に3週間休んでも、どっかから借り入れしなきゃ生活が間に合わないようなひどい支障はなかった。蓄えはそりゃ多少マイナスが付いたけど。


で、今なら、入院保険が出るような状態じゃなく1ヶ月くらいは急に休む事になってもまだオレは破綻せずにいられる。2ヶ月くらいはなんとかなるかも知れない。養老保険のすでに払い込まれた保険金はたきゃ、そりゃ1年くらいはのたくら無職でいられるけど。
けれど、それくらいのうしろだてはあってもこの漠たる不安はまったく消えないんだから、この不安はもうどうしようもないんだろう。


まぁ、あれだよ自分。かつての結婚生活末期に陥っていた不安と今の不安どっちがマシかって、そりゃ今の自分にだけかかってる日々と生活の不安の方がずっとマシだろうよと心の中で呟いて、オレは明日も休みだけどトレドミンを飲みコルヒチンを飲む。
その直後に「不安にどっちがマシかなんて、ないもんだけどなぁ。でも、あるよなぁ」と、子供達は眠っているので、いよいよ声に出してみたり。


明日の事はわからない。
それはどこに行っても、しょうがない。
オレにできるのは、いよいよ自分から明日を不確かにしてしまわないためのわずかなことしかない。それでも、それをやるのだ。できる程度で。