とは言えなぜここまでへたくそが多いのか

先日旧友I嬢と話をしていて、「能力以下の仕事をするのはつらい」という話をしていたのだが、へたくそな客の相手をしていてつらいことのひとつが、それだ。
「なぜへたくそ相手だと遺憾なくスキルを発揮するという事がこうも難しいのか」とよく仕事場のベッドの上で考える。マットの上はまだいいのだが。

へたくその具体例は挙げて行くときりがない。
へたくそは自分の身体の清潔に無関心である(爪がのびたままでいるというのもここに含まれる)、上になった時「面」でそっと体重を乗せて来ることができず、「面」で思いっきり、あるいは、もっと痛い「点」で思いっきり体重をかけて来る(その場では分からなくてもあとで痣になるんだなこれ)、愛撫しているつもりらしいのだが爪でごりごりと人の皮膚を引っかく(指は腹だけ使うもんだ)、女の体の柔らかい部分には神経が通ってないと思っているのか、胸だ尻だを鷲掴みにする、人の耳だ頬だ首筋だをよだれでべたべたにしたがる(口臭がひどい奴に限ってこれやりたがるの、なんで?)、とてもいけそうにないしまったくその兆候をこちらは見せてないのに「我慢しないで、いっていいんだよ」とのたまう、あまりのひどさに抗議すると「今までそんな事言われた事がない。文句ばっかり付けるな。お前の身体がおかしい。やる気がないんだろう」などという暴言を浴びせてくる。(これ、この業界の女子ならみんな何度も客から言われてる台詞なんだから、逆説的におかしいのはアンタ等だってはっきりしてんのよ。なんの正当性の主張にもなっとらんよ>客)

こんなのは、まぁほんの一例で。
このような客相手にどのようにいいセックスを提供できようか。無理だ。
マナーのいい、よくできたお客と遭遇すればこちらはことによってはスキル以上の力を発揮できる。なぜなら、仕事とはいえこれだって2人でやるセックスってもんだからだ。
しかし、下手くそ相手に本当の意味でいい仕事はできない。
我慢して演技し通せば下手くそはとりあえずまこと無邪気にご満悦で、下手くそほど裏を返してくれやすいのも知っているが、オレはこの仕事やっていて1度ならず下手くそに負傷させられているし、そういう輩に裏を返されたところで総合的に見合わない。ゆえに、下手くそにはいくぶん婉曲的にだが、「あんたは下手くそだ」と告げてしまう。

仕事であっても、加害は加害だ。「仕事なんだから絶対に嫌な顔をしないのが義務」って、たかが金払っただけでそんなに偉くなられたらたまったもんじゃない。
「感じろ」って言ったんだから、こっちにすりゃ「んじゃ感じさせるようにやれ」で。客が正面から「演技しろ」とか「我慢しろ」って言ってるならともかく。(だが断る

マナーのいい、「ああ、この人はこういうところのおねーちゃんに概ねいい接客してもらって来ただろうな」と感じるようなお客に接していると、「当然だけど、ある程度以上こっちがリアルに感じるにはあっちの持って行きようがどうしても半分か」と考えたりもする。残り半分が、相手をどのように誘導するかも含めたこっちの持って行きよう。
客側の持って行きようとこっちの持って行きようが上手くかみ合えばこちらは演技などしなくていいのだが(いや、これはこれでかなり疲労するけど(笑))、こちらにリアルな快感を得よと求めるならこっちも努力してるんだから、客であるがそちらもこちらに合わせて努力してくれって。
自分だけが好きなように無神経にやっといて、演技は嫌だ、ちゃんと感じろって、そりゃー無理だ。下手くそ諸兄よ。こっちも当然ある程度の演技はするが、加害されてるのに気持ちよがってるフリをしてやる義理はない。

しかし、どうされるのがいいのかとか何がNGかとかとりかかる前に大真面目に話をしておくとか、最中にもその相手ごとにちゃんと反応を見ていたりすれば、ある程度は相手を気持ちよくさせる事はできるんだけど。
もちろんどう学習した訳でもなく、はなからセックスについて勘のいい器用な人間ってのはいるんだけど、そうでない人間でも、美味いものを食べるために料理を学ぶ如くセックスも学習可能な部分って結構あるのに。

そこんところ怠惰にどでんとしてる客が、自分だけ蝋細工、いやそんないいもんじゃない、生ゴミ喰って「美味い美味い」言ってるならともかく、こっちの口にまでそれを押し込んで「ほら美味いだろう美味いはずだ」って言ってくるのには耐え難いものがある。
多少不出来でも必死の思いで共同作業してくれようとしてる姿勢が見えりゃ、腹は立たないんだけどねぇ。