秋の脱落レースシーズン、とうに開幕

ともあれ、店でごっつい本指名を稼いでいる同僚さんとちょっとぼそぼそと話をしていて、この時期はありがちなことなんだけど、若い女子の一群が「フロントがえこひいきをしていて、自分たちが干されている」事を理由に、移籍したがっているとの話が出て来た。


で、オレは煙草を吹かしつつ「ここで本指名稼げてる子はどこに行ったっていいけど、つられて動く子はこの時期、ますます稼ぎに不利になるだけなのにね」とコメントした。
本指名を多く稼ぐ、きれいな顔をしていて至って精神も健康な女性である同僚さんは、ばすっとオレに「人にいつもくっついていく子は、自業自得でしょ」と言い切った。ああすいませんへなちょこな甘さを発露して。
これくらいはっきりしてる人は有り難いねぇ。うん。その通りだ。


さて、オレがかつて経済的ににっちもさっちも行かなくなった時にも、今の店舗にいたのだが。
オレは別に、そこからものすごく劇的に変化した訳じゃないのだ。収入だって、いよいよの底付きからはたかが月あたり20万(されど20万)程度が上昇したに過ぎない。倍増までは行ってない。で、いまだ「もし娘が私立高校に行ったら、やばいぞ!」と叫んでいるくらいには余裕がない(笑)


オレの幸運は、体調も精神状態も経済も全部いっぺんに底が来たから、それを越えたらまず、身体がそれなりに楽になって精勤できるようになった事だろう。
精勤できるようになったら、少しずつでも経済も楽になって行った。最初は週あたり1万とか2万ずつの増収に過ぎなかったけど、底を見てからのオレにとって、あれは小さくはない金額だったのだ。
その少しずつの上昇が来た時に、また少しずつ少しずつ、仕事を足したりいろいろとやってみた。それはたまたま、プラスに働いた。
底付きの時期は店を変えるとかいろいろ考えたけど、煮詰まり切った状態の中でひとつはっきり思ったのは、「ここでやれない事は、まず、どこでもやれない。ここで変えられない事は、まず、どこに行っても変えられない」だった。
だから、オレは在籍する店を変えずにあがいてみることにした。


さて、以前にちらっと言及した「暇を嘆いている若い新人のお嬢さん」だが、彼女は面接の際、店に素直に「前の店で如何に稼げなかったか」を訴えてしまったのだそうな。
最低保障もない今の在籍店舗は、恐ろしいと言えば恐ろしい店で、在籍女子の人数はいくらだって欲しいから、お客に出す写真の枚数は多ければ多いほどいいんだから、はなから客をつける気がない女子を雇い入れて、飼い殺しにする事がある。
本指名も持ってないのに「お客を呼べます」なんてはったりはかまさなくたっていいから、かのお嬢さんはせめて面接にあたって、自分が不利になるような事を言わずにいられなかったのだろうか。今となっては、そこはもうどうしようもないが。


スキン接客だったのをノースキン接客可に変えるなんてのは最たるもんだけど、そしてできればあんまり推奨したくない話だけど、店からの扱いを変えたければ、何か、まず分かりやすいところで女子側が「変わる」しかない。
かのお嬢さんも、何かを変えなければという意志はあるのだが。
収入が減って金策が忙しくなると、悲しいかな商品である自分に手をかけて変えるということはどんどんあとまわしになり、ますます店から干されてしまうスパイラルが起きるのだよな…。


この閑散期、生き残るためにどれだけの女子が本気で何かを変えにかかるか、そして変えられるか。それは極端な話、顔見せ写真をひたすら撮影して「生涯のベストショットを撮って来る」ってことだって、いいんだけど。
何も変えずに、暇なもんどうしで寄り集まって文句垂れて控え室で転がってるうちは、ひたすらきつくなっていくだけだわな。